定旋律

【定旋律(cantus firmus:ラテン語)
定旋律(ていせんりつ)とは、ある曲を作るために基礎として引用された旋律のことをいいます。
中世の音楽の作曲に最も使われたのは、当時最もポピュラーだった「グレゴリオ聖歌」の旋律でした。
その旋律素材は長い音符にして取り出され、その周辺にいくつかの旋律が装飾的で自由に動けるように作曲されました。
当時、旋律を作り出すことはジョングルールと呼ばれる卑しい身分の音楽家の仕事で、僧侶や高級市民であった作曲家は既成の旋律を組み合わせて音楽を構成していたようです。

初期ルネサンスにおいては、作曲家は定旋律に別の手法を取り入れて利用しています。
各声部において主題として導入したり、多様なリズムを付加したり、あるいは宗教曲にも定旋律に世俗歌曲の旋律を取り入れたりしました。

イングランドでは俗謡を定旋律として作曲されたり、また、ドイツのバロック音楽の作曲家、たとえばバッハなどは、グレゴリオ聖歌ではなくコラールの旋律を定旋律に利用したりしています。